こんにちは、関内外OPEN!で関外コースのツアーを担当する小島です。
関内外OPEN!では建築事務所から個人のアーティストまで様々なクリエイターの活動に触れることができますが、今回はアート活動とリノベーション事業を両立されている点に注目し、nitehi works(似て非works)代表の稲吉さんと笠原さんにお話を伺ってきました。
(三名の写真)

nitehi worksは築44年の元銀行仕様だった場所をコンバージョンしたビルです。
1Fと中2Fはカフェ&バーと、オープンスペースになっており、作品展示から多種イベントなど、地域の人々の交流の場として利用されています。
メンバー3人の写真の中心が似て非works代表の稲吉さん、右隣の笠原さんは音楽イベントのプランニングをされていて、稲吉さんとは20年程の付き合いになるそうです。ちなみに写真左の稲吉さんの奥様は役者をされています。
―まず、今までの活動経歴を教えてください。
■稲吉
元々横浜出身で、Bゼミで現代美術を学び、関内や日ノ出町など横浜を中心とした活動をしてきました。同時に設備など技術的な裏方の仕事の経験を積みながら、関内の雑居ビルの一室でギャラリー「Art Lab Woo」を運営したり、東京、横浜でのアートフェアに出展してきました。
その後立ち上げた「キャンディーファクトリー」では、お菓子工場の跡地をアトリエやギャラリーとして活用し、最終的には建物自体を作品化するといった活動を展開してきました。
―似て非worksの立ち上げについてと、また似て非というユニークな名前の由来も教えてください。
■稲吉
きっかけとしては横浜市の空き店舗活性化のプロジェクトへ応募したことからで、いくつか建物の候補があったのち最終的にここに決まったのですが、最初は今のような形になるとは思っていませんでした。
名前については抽象的な言葉を探していたときに古語辞典を捲っていて見つけたもので、言葉自体の掴みどころのない所がアートに似ているように感じました。 似て非というのは一見似ているがはっきり見えない所で違いがある、それが見えないものを大事にすることや結果より経過そのものが重要ということを表す言葉としてしっくりきたからです。
改装前の外観

―最終的に今の形になったのは?
■稲吉
最初は野毛の小さい空き店舗のオーナーからと思っていたのが諸事情で最終的には4階建てのビルになりました。
ソフトもハードも自分でやるという条件があったので不安もありましたが、実際に足を運んでみて、“出来るか?”が“やりたい”に変わりました。
同じ時期にZAIMの閉館と転居も重なって、ビルをシェアすることができたのでタイミングも良かったと思います。
結果的には好きなようにやらせて頂きました。例えば今の天井のファンなどは、屋上の室外機のファンを用途変換したものです。解体してファンの部分のみを新しいエアコンの下に取り付けてあります。あとテーブルも元々ビルの外にあった外看板を再利用したもので、バーのスツールもオフィス用の椅子を改造したものだったりします。
ファン

テーブル

配管

かべ

―それは気づきませんでした!では、リノベーションやモノ作りをする上で大切にしていることはありますか?
■稲吉
元々の特性を独自のフィルター越しに引き出す事を意識しています。私はまず事前に考えるのではなく、そこにあるものを感じることから始まります。
そこに答えがあると思っているので逆境から生まれたものも多いです。
ここにしかない場所、物、環境と関わることによって生まれることを大切にしています。
―ご自身の中でアート活動と仕事の境界線というのはありますか?また仕事としてリノベーションされた場合は?
■稲吉
今まで数十件程リノベーションの仕事をしましたが、場の特性を重視することは、同じです。
そのほとんどはクライアント側に立った仕事ですが、逆に言えば、結果そのクライアントだからこその空間になります。
アート活動も、仕事としてリノベーション事業も、それぞれに制約はあると思います。しかし、その人、その場所と出会い、交流することで、生まれることは同じなのです。
自分がいいと思っても相手が気に入るかは分からないですし、経過を共有し、楽しむことを忘れないようにしています。
―nitehi worksのカフェ&スペースはアートと営利事業、どういう位置づけですか?
■笠原
アートスペースではありますが一般的な貸しギャラリーのようなハコ貸しはしていません。
私たちからも提案ができるような環境でありたいですね。というのは私たちの作ったnitehiというスペースとコラボレーションするような形で作品を発表していただきたいのです。ここに置いたらどう変化するのか、アーティストと一緒に検証したり、作り上げていくことでお互いが新しく何かを生み出せるような空間にしてもらいたいのです。
またアートだけではなく様々なジャンルの方のアイディアの交流の場所であることも理想としています。例えば月に二回、囲碁カフェというものが開かれています。気軽に飲食しながら囲碁を楽しみ、囲碁の素晴らしさを広めていく企画ですが、先日は海外の方も参加され、交流や情報交換で賑わいが広がりつつあります。
そういった文化・芸術を色々な人たちで共有できる参加型のスペースにしたいとも思っています。

―似て非worksの今後の展望は?
■笠原
ここのスペースは多くの方々が集える交流の場として活用していただきたいので、今後も楽しめると同時に意義のある企画やイベントを開催し続け、それが関わっていただいた皆さんのモチベーションアップに繋がれば幸いだと思っています。
将来的にはここを中心として地域の方々を含めた様々なジャンルの人が交流することでコラボレーションや互いのメリットが生まれ、次の仕事、展開に繋げていくことができる、そんな発信の場、橋渡しを担っていければと考えています。
■稲吉
活動していて気付いたのですが、ないはずのアートの壁というものを一般の方が感じている気がします。
しかしそれはアートを交流に変える工夫をすることで、理解に変わり、共通の言語を生む様に思えます。
将来的には、建物を含めた「街」と人とを繋げる活動をしていけたらと思っています。
入居者の方も志のある方が集まって入居者同士の交流ができたり、町自体が変化を共有し始めればと望みます。
その中でもnitehiはジャンルを問わず、色々なコンセプトを持った人たちが成長して行く為のトライアルな場所でありたいです。
―最後に、若いアーティスト志望者にアドバイスをお願いします。
■稲吉
アートという振り幅は、だいたい何かに繋がると思っています。目には見えませんが、やっていることを信じて続けることが、大きな枠に育つ様に思えます。
今回お話を伺ってみて、お二人が似て非worksのスペース一つにしてもできる限りアートの敷居を低く設定し、地域の方々との交流を大切にされていることが十分に伝わってきました。
自然に人が集まって発展し、更に発信していくエネルギーを持つ似て非worksが今後どのような展開をされていくのかとても期待されます。
稲吉さんと笠原さん、お忙しいところ本当に有難う御座いました。
(記事・写真 小島 近藤 辻)